ムエタイ ( 英語 : Muay Thai,Thai boxing、 タイ語 : มวยไทย )は 格闘技 の一種で タイ の国技。発音的には ムワイタイ が 正しいが、日本ではムエタイの語で定着している。直訳すると「タイ式の戦い」となり、タイ式キックボクシング、タイボクシング(Thai boxing)とも言われることがある。海外ではThai boxing(タイ式ボクシングの意)と呼ばれることが多い。両手、両肘、両脚、両膝の八箇所を用いて相手と戦う。
タイの地方では祭りなどの際に人集めの催し物として行われることが多い。だいたい年格好が似たもの同士が相手として選ばれる傾向がある。たいがい賭けが行われるため、八百長試合が殆ど無い。さらに、国境の町などでも他国との親善試合がよく行われる。
一方、ムエタイは地方ではかなり一般的なスポーツで、日本人の子供が剣道・柔道・空手に通うのと同じ感覚で地元の講師の元に通う。講師も日本の武術 と同じく、服従の対象である。プロの選手ではまだまだ女性選手の進出はつらい状況にあるが、地方の人集めの試合なら女子児童・生徒の参加も比較的認められ る。村対抗、学校対抗の試合は頻繁に行われ、賭けは少ないが、八百長も比較的少ない。
ムエタイ選手は試合開始前に ワイクルー と呼ばれる踊りを踊る。この踊りには自分のトレーナーに感謝を捧げ、神に勝利を願う意味があり、試合前の闘争心を高める効果があるとされる。
ムエタイがいつ興ったものかははっきりしていない。タイの関わった戦争の中で徐々に発展していった徒手格闘の技術がムエタイの原型になっているようである。
アユタヤ王朝期にはナヒ・カノム・トムの伝説がある。ナヒ・カノム・トムは伝説的な(伝説上の)ムエタイの戦士でビルマ軍との戦いで囚人となり、ビ ルマの王(ウングワ王)の格闘技を見せる奴隷となるも過酷な格闘に生き延び、ビルマの武術家12人を打ち負かして自由の身になってタイへ帰ったという。
ビルマの属領とされていた 1584年 頃に、 ナレースワン大王 がビルマとの戦争に勝って独立を回復したのだが、このときには既にムエタイが大きな役割を果たしたとする書物もある。これが事実なら少なくとも400年以上の歴史があることになる。
その後、ムエタイは男の強さを計る基準として各地で盛んに行われた。 チャックリー王朝 に入ってからは 決闘 が頻繁に行われ、死者が続出したことから一時禁止された。1914年頃には ヨーロッパ にも伝わった。
1921年 には、 第一次世界大戦 への参戦のために武器を大量に購入することが必要となってきたため再開。その資金捻出のために国王 ラーマ6世 がムエタイのトーナメントを開催した。この大会の試合はボクシングの リング 上で行われ、時間も測り、レフェリーも置かれた。これがスポーツとしてのムエタイの始まりといってよいだろう。 1929年 には、拳の保護のためにそれまで使われていた木綿のひもがグローブに改められ、現在の形に近くなった。また、この年に ルンピニースタジアム が建設された。
1945年12月23日に、 ラジャダムナンスタジアム が建設された。初めは野外競技場だったが屋根は後に増築された。
1990年代末には、これまでリングに上がることを許されなかった女性にムエタイを行うことが認められ、少しずつ女子ムエタイが行われるようになっ ている。また、ボクシングに対するアマチュアボクシングに当たる存在としてアマチュアムエタイも行われるようになった。これらはムエタイのオリンピック種 目化を目指すタイの国策だといわれている。
またムエタイの国際化の影響として、近年には本場タイで修行し活躍する外国人選手も目立ってきた(ジャン スカボロスキー選手など)。また、過去には日本人3人、中東系フランス人一人が本場タイの王座を獲得した。
の4人である。特に、タイ人選手層の厚いライト級等では外国人選手が入り込む余地がないと言われる程壁が高く、外国人として王座を奪取した功績は大きい。
最近は日本のK-1やキックボクシング興行に参戦するタイ人選手( ブアカーオ・ポー.プラムック 、 ガオラン・カウイチット 、 サゲッダーオ・ギャットプートン 、 サムゴー・ギャットモンテープ 等)が多い。
日本でも2004年4月に 世界ムエタイ連盟 ( W.M.F / The W orld M uay thai F ederation)認定WMFジャパンが正式に発足。元来、 アマチュア の ムエタイ には二つの団体、 国際アマチュアムエタイ連盟 (I.F.M.A.)と 国際ムエタイ連盟 (I.M.T.F.)が存在していたが、その為参加国90数カ国という大組織にも関わらず様々な混乱が生まれていた。ムエタイの オリンピック の種目化を目指し統合され 世界ムエタイ連盟 (W.M.F.)が発足した。
世界ムエタイ連盟の定める所によれば、試合は2分3ラウンド制である。勝敗はKOまたはポイント加点形式で争われる。選手の攻撃をジャッジが有効と 判断した場合、コンピューター処理のボタンを押し、ジャッジ5名のうち3名がボタンを押せば、1ポイントが加算される。タイで普段行われるプロのムエタイ 同様、パンチよりもミドルキック・ハイキック・膝蹴り・肘打ちの方が重視される。
試合形式はラウンド制。1ラウンドを3分間とし、ラウンド間に2分間のインターバルをおく。通常5ラウンド行う。
アマチュアムエタイの選手は試合時にキックボクシング用のパンツをはき、ヘッドギア、肘サポーター、ボクシンググローブ、脛サポーター(レガース)そしてプロテクターボディーを身に付けなくてはならない。
選手はムエタイ用のトランクスを履きグローブを付けて試合を行う。女子選手は上着を着る。基本的に派手なものが多い。あるいは、企業のコマーシャルの入ったものもある。また、負傷防止のため マウスピース とファウルカップを着用する。 ボクシングシューズ は履かず、裸足かサポーターをつけ、頭に モンコン と呼ばれる闘いのお守りであるヘッドリングを付ける(試合時は頭のモンコンは外す)。リングに上がる前に会長かトレーナーに被せて貰い、ワイクーが終わって試合直前に会長もしくはトレーナーに外してもらう( イスラム教徒 の場合はモンコンの下に大きな布を被って入場する)。 モンコン の 色は選手のレベルによって変わり、初心者は白、最高位はピンク色である。モンコンはグローブを着用している選手自身ははずせないため、助手によってはずす ことになるが、その際神聖とされる頭部にふれるため頭部に向かって合掌を行う。腕に付けている縄のようなものはお守りで パープラチアット と呼ばれ通常はお寺で僧侶に編んでもらう。
基本的にはボクシングに準ずる。ルンピニーやラジャダムナンではミドル級まで(重い選手がいない為)。ただし、世界タイトルには団体によってプロボクシングにはない階級スーパーヘビー級が存在することもある。
世界ムエタイ連盟の定める基準は以下の通り。全21階級。
| 階級名称 | 体重 |
| コットン 級 | 38-40kg |
| ペーパー級 | 40-42kg |
| ピン級 | 42-45kg |
| ミニフライ級 | 45-48kg |
| ライトフライ級 | 48-49kg |
| フライ級 | 49-51kg |
| スーパーフライ級 | 51-52kg |
| バンタム級 | 52-54kg |
| スーパーバンタム級 | 54-55kg |
| フェザー級 | 55-57kg |
| スーパーフェザー級 | 57-59kg |
| ライトウェルター級 | 61-64kg |
| ウェルター級 | 64-67kg |
| スーパーウェルター級 | 67-70kg |
| ミドル級 | 70-72kg |
| スーパーミドル級 | 72-76kg |
| ライトヘビー級 | 76-79kg |
| クルーザー級 | 79-86kg |
| ヘビー級 | 86-91kg |
| スーパーヘビー級 | 91kg以上 |
世界ムエタイ評議会の定める基準は以下の通り。全18階級。
| 階級名称 | キログラム/kg | ポンド / lbs |
| ミニフライ級 | 47.727kg | 105lbs |
| ジュニアフライ級 | 48.988kg | 108lbs |
| フライ級 | 50.802kg | 112lbs |
| ジュニアバンタム級 | 52.163kg | 115lbs |
| バンタム級 | 53.524kg | 118lbs |
| ジュニアフェザー級 | 55.338kg | 122lbs |
| フェザー級 | 57.153kg | 126lbs |
| ジュニアライト級 | 58.967kg | 130lbs |
| ライト級 | 61.235kg | 135lbs |
| ジュニアウェルター級 | 63.503kg | 140lbs |
| ウェルター級 | 66.638kg | 147lbs |
| ジュニアミドル級 | 69.853kg | 154lbs |
| ミドル級 | 71.575kg | 160lbs |
| スーパーミドル級 | 76.363kg | 168lbs |
| ライトヘビー級 | 79.379kg | 175lbs |
| クルーザー級 | 86.183kg | 190lbs |
| ヘビー級 | 86.183kg | 190lbs |
| スーパーヘビー級 | 95kg以上 | 209lbs以上 |
世界ムエタイ連盟の定める勝敗の決し方は以下の通り。
プロの勝敗の決し方は、以下の通り。
キックボクシング と 大きく異なるのはキックの比重が高いことで、相手の蹴り足を自分の脛を上げて防御し、その足でそのまま相手を蹴るような動作や、ハイキックなど見て美し く、相手に当てることが困難な攻撃は評価が高くなる。またキックは相手の腕に防御されても評価の対象となる。これは、相手の腕を蹴って攻撃していると見な されるからである。事実、パンチを得意としている選手が蹴りを腕でガードしてダメージを負い、パンチが出せなくなって敗退することは多い。はなはだしいと きは、腕を蹴り折られるときもあるくらいである。一方パンチの比重は低めとなるため、海外のパンチ主体の選手がムエタイに挑戦すると、相手をKOできない 限りはまず判定負けとなる。 さらに、ムエタイで高く評価される攻撃方法に「首相撲」がある。これは、相手の首を両手で捕まえて胴体にひざ蹴りを叩き込んだり、投げ捨ててしまうような 攻撃で、「相手を完全にコントロールしている」「相手に何もさせないでいる」という意味から高く評価される。ただし、注意してもらいたいのがムエタイに於 いても『投げ』は禁止である事。具体的には足をからめての投げ〜柔道の内掛けや外掛けにあたる動作〜は禁止であるのだ。腕の力と体重移動のみで投げを打つ と言うことは言葉で言うほどたやすい所作ではない。それが故に玄人は首相撲を見る事を好む。
タイでは試合の行われるスタジアムごとにランキングやタイトルが存在し、特に ラジャダムナン 、 ルンピニー の両スタジアムのタイトルが最も権威がある。また、タイ国プロムエタイ協会というものもある。その他、WMC(World Muay-Thai Council、世界ムエタイ評議会。旧WMTC)や WPMF (World Professional Muay-Thai Federation、世界プロムエタイ連盟)はタイに本部があり、ムエタイの世界タイトルとしては権威があるとされるが、どちらもまだ歴史が浅い。ま た、キックボクシングの団体でありながらムエタイの王座を設けているところもある。
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